Liner notes
音楽畑5 音楽畑5
QUATLE SAISON
■WPC7-8541 ■1998.11.26 ■税込 ¥2,000

銀河伝承5月の草原は愛に包まれて驟雨卒業真夏のギャロップあやめ寒月想い出のクリスマス夕陽晩秋のアダージョ/全11曲

銀河伝承(1月) LEGEND OF GALAXY  
一月の夜空はこの世の物とは思えない程に美しさと荘厳に満ちている。
ペテルギウスとシリウス(天狼)とプロキオンの作る大三角型や、オリオン座の三つ星や 、ヒアデス星団や、プレアデス星団(すばる)等、どれをとっても、神のみ業を思わないわけにはいかない。
M42星雲の蝙蝠(こうもり)の形を見ていると、全宇宙に勇名を馳せた、かの銀河軍団が、堂々と行進をして来る様子が目に浮かぶ。ロンドン・シンフォニー・オーケストラは、スター・ウォーズや、スーパーマンのテーマを演奏しているが、そのド迫力は、銀河軍団のテーマを演奏するにふさわしい力量を持っている。


5月の草原は 愛に包まれて(5月) PLAIN IN MAY
“野生のエルザ”という映画を憶えているだろうか? 人間と野生の動物が仲良く、美しく一緒に生きていくという、実に心暖まるストーリーだった。尤も人間のルールに野獣を取り込んでいくわけだから、相手にとってみればえらく迷惑な話で、美しくもないし、心暖まる話でもないかも知れない。
さて草原に爽やかな5月の風が吹くとき、動物達は、その心地良さに、ああ生きていて良かったと思うだろうか。それとも何処かに身をひそめている狩人の鉄砲の鋼(はがね)のにおいを嗅ぎとって緊張に身を固くするのだろうか? 答は只一つ、「わくわく動物ランド」を見るのだ。そこに君の求めていた真実が隠されている。

驟雨(4月) OCCASIONAL SHOWER
昔、パリではあまり傘をさしている人を見かけなかった。雨はほとんどが通り雨だし、傘をささないで少しぬれて行くくらいが、粋だったからだ。
ロンドン児は傘は持っているが、雨が降って来ても開こうとしない。やはり濡れながら、堅巻きの細身の傘を、小脇に抱えて歩くのが粋だからだ。
パリは近頃、傘をすぐにさして歩く。人が変わったのか、気候が変わったのか、それともチェルノブイリの故か……。ロンドンは相変わらず、やせがまんです。

卒業(3月) GRADUATION
コンセルヴァトアールには卒業はない。何か賞をもらうだけで、一等賞をもらってしまうとそのクラスにはもういても仕方がないから、自然に出て行く事になる。
その授賞式が、夏休みの前にあって、僕も出席したが、名前を呼ばれてステージに上がると、先生と握手を交わした後、自席に戻らなければいけないのを、僕はそのまま、ステージの下手に引っ込んでしまって、後で友達に冷やかされたのを、覚えている。
あの時は、これがゴールだと思ったが、なんの、なんとあれはささやかな、スタート地点でした。

真夏のギャロップ(8月) SUMMER GALLOP
馬は 優しい目をしていて好きだ。立て髪をなびかせて疾走している姿も美しくて好きだ。競馬場はゴミゴミとしていてきらいだ……と言ったら、とんでもない。最近の競馬場は、欧米並みだそうで、馬主席なんかは、そこらのレストラン顔負けのすばらしさらしい。
そう言えば、大昔、ダービーで3-7というのを取った事があったっけ。丁度、青江美奈がデビューした時で(古いねえ)ビクターの宣伝部の連中にのったら、三千いくらついた事を覚えている。
 一度、又、ふらっと行ってみますか。

あやめ(6月) IRIS
6月になると、僕はほとんど例年のように、ぶらっと明治神宮に出かける。
別に季節はずれの初詣に行くのではない。あやめを見に行くのだ。梅雨の間のわずかな晴れ間から差し込む、もう夏の日差しに、すっと立っている濃い紫の花は日本そのものだ。
光琳、仁清、鳥居清長、粋な芸者の立姿といったところだろうか。

(7月) the sea
海は青くて、涼しくて、美しいのに、時々少しこわい。
昔、読んだSF小説の中に、海底から異生物が、陸にどんどん上がって来て、地球を侵略するという話があったが、ジョーズなんかも恐かったし、海底で何か黒い大きな影が頭上を横ぎったり、ボートを漕いでいる真下に鯨みたいな鮫みたいなモノが泳いでいるのもすごくいやな感じだ。
だけども、海はやっぱりステキだ。ハワイも良いし、カリブも大好きだ。
L.S.Oの弦と、スクエアの伊東君のアルトサックスのソロも、まるで昔のハリウッド・ム−ビーの様に、甘く美しい。
美女はどうなったって? まあ、いいじゃないですか。気にしない。気にしない。


寒月(2月) WINTER MOON
どうも想い出話ばかりで恐縮だが、子供の頃の東京は寒かった。
特に僕の住んでいた武蔵野の冬は、ひょっとすると北海道ぐらいしばれていたんでナイカイ?
銭湯の帰りに手拭いを立てると、そのまま凍ってしまって、指なんか一杯霜焼けが出来てしまったりして、それでも帰りの道は月明かりがきれいだった。

想い出のクリスマス(12月) A CHIRISTMAS TO REMEMBER
最近、あまりクリスマスというものは流行らないらしい。一時は、早めに帰宅して、家でのクリスマスという時期もあったが、近頃は家でもあまりやらなくなったようだ。
昔、僕の家では、父がパーティー好きの故もあって、クリスマス・イヴはお客様を沢山招いて必ず徹夜と決まっていた。その日ばかりは子供達も何時までも起きていても良いのだから、目茶苦茶に楽しかった。
どの年のクリスマスだったか、ソファーでごろ寝をして明け方、ふと目をさましてみると、外は一面の雪で、ホワイト・クリスマス、懐かしい想い出だ。

“夕陽 ”(9月) THE SUNSET
新潟で毎年夏に夕陽コンサートが行なわれる。日本海に落ちる夕陽、それも、佐渡ケ島の上に落ちる夕陽は、日本一の夕陽で、夕日が落ちるのと同時に、コンサートが始まるわけである。
砂浜に集まった人達と、今年は二万五千人を越えて大盛況だった。
そのまん丸の大きな夕陽をイメージして作曲したのが、この曲である。

晩秋のアダージョ(10月) ADAGIO FOR STRINGS
アルバム5作目となると、55曲作ったという事になるわけだから、どうしてもマンネリになる。……と自分ではとりあえず、そう思ってしまったりする。
何か今迄と違う、もやもやっとしたものを作りたいと思っていた時、初日のスタジオでロンドン・シンフォニー・オーケストラのサウンドに啓発され、ロンドンで作曲したのがこの曲です。
10月も末になると、山は上の方から段々に、赤だの黄色だのに染まっていきます。枯れてしまうと、紅いのも黄色いのも茶色くなって、或る晩、木枯らしが吹くと、全山丸坊主で、なんか淋しいなあ。


ロンドン交響楽団 LONDON SYMPHONY ORCHESTRA
 このアルバムでは、ロンドン交響楽団が演奏に参加しています。’88年7月21日から25日までロンドンで録音しました。このイギリスの楽団を代表するロンドン交響楽団について、オペラの指揮で世界一の実績を誇るロリン・マゼールは「今、世界で一番広いダイナミック・レンジを持つ、表現力豊かなオーケストラだ。」と評しています。このレコードに於いても彼の評が大変に良く分かる素晴らしい演奏を聴かせてくれています。
ロンドン交響楽団は、ロンドンのクインズホール・オーケストラを前身として1903年に生まれていますから、イギリスでも最も由緒のあるオーケストラと言えるでしょう。歴代の常任指揮者も錚々たる顔ぶれで、ハンス・リヒター、ニキシュ、ヨーゼフ・クリップス、ピエール・モントゥー、イシュトヴァーン・ケルテス、アンドレ・プレヴィンと引き継がれて来ています。1979年より主席指揮者にイタリアの名指揮者クラウディオ・アッパードを迎え、レコーディングに演奏会にと世界中のファンの為に名演を披露しています。(宗真太郎)

(このライナー・ノーツは、CD制作当時に書かれたものです。)


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