Liner notes 作品音楽畑シリーズ>音楽畑9
音楽畑9 音楽畑9
Sports
■WPC7-8545 ■1998.11.26 ■税込 ¥2,000

オリンポスの神々へサンライズ・クルーズスノーマン風のように矢のようにウィンブルドンの雨オフサイド・トラップロンシャン緑の詩(うた)ザ・ドスコイ朝風のイカロス栄光のファイナル・ラン/全11曲

オリンポスの神々へ B.C.776 (Olympic Games)
僕が東京オリンピックの時に、体操の役員をしていた。と言うと、大抵の人が信じられないという顔をする。
でもこれは本当の話だ。ちゃんと青いブレザーをもらって高崎の合宿なんかにも参加した。山本直純や八大、前田憲男なんかも一緒で毎日楽しかった事を思い出す。
あれから24年がたって、今年はバルセロナのオリンピック、丁度セヴィリアの万博に行っている時にオープニングがぶつかるので行って見たいなと思ってみたり、東京オリンピックのオープニングの日の、あの抜ける様な青空を思い出にとっておきたいと思ってしまったりするのだ。

サンライズ・クルーズ Sunrise Cruise (Yacht)
アメリカズ・カップって知ってます?テレビで見た方もいるかも知れませんが、人智を尽くして、艇をシェープ・アップして、風だけを唯一の動力源として、テクニックとスピードを競うゲームです。お金もかかるし、名誉もかかっているし、世界中のお金持ちの夢は、オーケストラのオーナーになる事とアメリカズ・カップのオーナーになる事だと聞きました。
無駄な事にお金を出さない日本も、やっと今年は重い腰を上げて参加しました。しかもすごい成績だったんだから嬉しくなってしまいます。この勢いで行くと何年かしたら、日本にアメリカズ・カップが来るのも夢ではありません。
ガンバレ、ニッポン!朝日に向かってセイル・アウェイ! 出来れば、昔の海軍旗をなびかせてレースに出てほしいなあ。あれは中々いいデザインだと思いますけど……。

スノーマン Snowman (Ski)
子供の頃、東京にもよく雪が降った。大雪で学校が休みになった事もあったくらいで、もしかすると昔の方が今より寒かったかも知れない。手に出来た霜やけが満員電車でつぶれて、わーわー泣いたりした想い出なんか今の人に話すと、東北か北海道の奥の方の話と間違えるに違いない。
それでも雪が降ってくればしめたもの。子供と犬はその辺を走りまわる。雪だるまも何日ももつようにしっかりシャベルで固めて、炭とたどん(って知ってる?)で顔をこしらえて、ハイ、出来上がり。
英語で雪だるまはスノーマンだけど、テレビで見た大滑降の選手達こそ、本当の意味での、雪は友達、雪男、スノーマンという感じがする。

風のように矢のように Wind & Arrows (F-1)
F-1もテレビで有名になったスポーツの一つだ。僕も御多分にもれず、古館君の名(?)解説を楽しんでいる。
風のように疾走して行く姿を見ていると、いかにも軽々と運転を楽しんでいるように見えるけど、マッチ(近藤真彦)なんかに聞くとクラッチは固いし、ハンドルは重いし、第一、コーナリングとか加速で身体にかかるG(重力)はものすごいらしい。ゴルフもそうだけど、見た目にはあんな簡単なスポーツは無いように見えるけど、おっとどっこい、やってごらんてなもんで、プロがやれば何でも楽にやっているように見えるけど、中々そうはいかないということです。
何百人というスタッフがバックにいても、優勝すればシャンペンの雨を浴びるのはたった一人。それでも勝者の顔は、美しい。

ウィンブルドンの雨 Shower in Wimbledon (Tennis)
毎回6月に行われる、ウィンブルドンの全英テニス。丁度、音楽畑の録音と重なって、毎回テレビで見ている。勿論本物のチケットは、プラチナ・チケットで手に入れるのは大変らしい。
イギリスは、お天気に関しては、三等国だから、何日も、雨で試合が流れたりする。にわか雨なんかが、ザーッと降って来ると、コートを濡らさない様に、全員で、カバーをかける。勿論、慎重な英国人の事だからゆっくり確実にやる。やっとかけ終った所で、陽なんか当たったりすると、今度はいつこれをはずすかが、又、大問題。プラチナ・チケットを持ったお客さんがブーイングをしたり、運営委員のミーティングが有ったり、やっとカバーをはずしたら又雨、なんてシーンも何回か見た。全天候ドームか何かにしたら、どうなんですかねぇ? とか思うけど、そこが又、英国人らしいかな? などと思ってしまったりする。
音楽もワインと一緒で、一寸位古い方が味が有ると思いますよ。

オフサイド トラップ Off-side Trap (Soccer)
ブスコパンという薬を知ってますか? 胃けいれんには夢の様に利く。ブスコパンに最初にお世話になったのは、今からもう20年以上前、アジア地区代表決定戦かなんかで、日本VS韓国の試合。ガンバレ、ニッポン!!と絶叫している内ちに、イテテ……という訳で、それ以降、ブスコパンはサッカー観戦の友となった。
何が、胃に悪いったって、あのオフ・サイド位悪いものは無い。折角一人抜け出て、行け……!とさけんだら、オフ・サイド。気に食わない。ましてやオフサイド・トラップなんか仕掛ける奴は最低だ。

ロンシャン Longchamps (Hose Racing)
横光利一の「旅愁」という本は、僕の愛読書の一つで有る。
まだ、今のように世界が狭くない頃、苦労した留学生の話で、石の壁にかこまれて、西洋風合理主義の中で、窒息しかかった若者が誘われて行ったロンシャンの競馬場でしなやかな栗毛の走りを見て、元の自分の感覚をとりもどすという話があった。
自分もパリに留学していて、調子がおかしくなると動物園にいったものだから、この話はよく解る。
最近、競馬がブームだけど、馬券よりもあの美しい生き物の走りに魅せられて、のめり込んだ人が多いと聞いた。これもまた、よく解る話だ。

緑の詩(うた) Quiet Moment (Golf)
あんまりスポーツには関係ない僕も、ゴルフだけは良く時間をつくって出かけて行く。
まあ、良い空気を吸いながら一日自然に親しむのは身体にも悪い訳はないのだが、スコアが悪いと、どうも胃にはあまり良くないようだ。
ゴルフはゲームそのものも楽しいが、終わって風呂に入ってクラブハウスで飲む生ビールは何物にもかえがたい。
傾きかかった夕陽が、今はもうすっかり誰もいなくなった 静かなフェアウェイを照らし、昼間はためていたピンも、グリーンに長く影を落とす。こういったすべてがゴルフの醍醐味で、どうやら一生足をぬけそうにない。

ザ・ドスコイ The Doskoi (Sumo)
この所ずーっとテレビでしか、観戦していないけど、中学生の頃は、良く、国技館に足を運んだし、オヤジが、大好きなものだから、家にも良く関取りが遊びに見えてた。
あれはたしか、先代の朝汐と、松登だったと思うけど、家の車(マーキュリー)で、部屋まで送る事になって、走りはじめたのは良いのだが、10米も行かない内に、ゴキンと言う音と共に、後輪のスプリングが折れてしまった。さすがにおすもうさん、と全員感心したり呆れたり。
最近では特にひいきの力士はいないが、昔は、大晃(おおひかり)という地味な関取りを応援していた事が有る。なんの事はない、たまたま、サインしてくれただけの事から、名前をおぼえた訳だが、勿論、相変らず、力士の名前をおぼえるのは、とんと苦手なので、この際、小林克也さんにお願いして、横綱から十両まで、全部唄いこんでもらう事にした。
制作中に横綱が、引退したりしてしまったけれど、平成4年4月27日発表の番付の関取66名を全員唄いこんで有る。音楽畑9作目にしてはじめてのラップ、一寸驚いたかな? 楽しみながら、作りました。克也さんどうも有難う。

朝風のイカロス Icarus (Hang-glider)
イカロスって、神々に逆らって高く舞い上りすぎたせいで、羽がもげて、地上に落下してしまったんだけど、考えてみれば、我々人類は、あれからずーっと、神や自然に逆らって来た。オゾンホールやらエイズやら、酸性雨やら、もしかすると神々の手痛いしっぺ返しを今、受けている最中なのかも知れない。
でも、岩田君の爽やかな、パンフリュートを聞いていると、一寸位の罰なら受けてもかまわないから、朝風に乗って、大空高く舞い上がって行きたいと思ってしまったりする。翔べ、イカロス。

栄光のファイナル・ラン  Final Run (Marathon)
一時ものすごくジョギングが流行った事が有った。ヘルシーだと言うだけでなく、しばらく走り続けている内に、何かこう、ハイになって来るらしい。それが気持ち良くてついつい走ってしまうという、少し怖い話なのだけど、ま、趣味でやっているのは気楽でいいが、プロ(?)のマラソン走者ともなると、そうもいかないだろう。ゴールした時に体重が何キロも減っているという位の苛酷なスポーツらしい。
それにしても日本人はほとんど選手がゴールしたとたんに、息も絶々でぶったおれるのに、外人選手はニコニコしながらピースマークなんかやっているのを見ると、何事も日本人は余裕がないのかなー、等と思ってしまう。

(このライナー・ノーツは、CD制作当時に書かれたものです。)


水玉